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2023.9.1 バングラデシュ奮闘記 線路作業編

バングラデシュの線路作業河野和久

1.概要

バングラデシュの線路作業は基本的に隣国のインドと同じで、規定類は全てインド国鉄のものをそのまま使っているということでした。軌間は西隣のインドの1,676mmと東隣であるミャンマーの1,000mmのデュアルゲージ(3線軌)で相互乗り入れをしているとのことです。ただし、私が携わった地区はインドと近いため殆どが広軌の車両でした。

在来線の本線は、ほとんどPCマクラギ、パンドロールでロングレールでしたが、駅構内の貨物線は木マクラギ、犬釘で所々に軌間保持のためと思われる鉄マクラギが敷設してありました。重量のある貨物列車は広軌なのか鉄マクラギは狭軌用のレールは締結してなかったです。
PCマクラギは1本370kgと非常に重いため、レールを配列する前にマクラギを正確に並べる必要があり、水糸、バカ棒を使い通り、間隔、直角を何度も計測して微調整していました。

暑い国のためロングレールの張り出し対策はどうだろうと思いましたが、最高レール温度は日本とほとんど変わらなく最低レール温度が高いため温度差が少なく、張り出しはほとんど発生していないと思われます。在来線を見るとマクラギ端がむき出しの箇所が沢山ありました。また、伸縮継目も簡易な構造のものでした。


デュアルゲージ(3線軌)


3線軌の伸縮継目

2.点呼

全員が整列して挨拶、ラジオ体操第一、服装の点検、注意点の伝達後、各グループに分かれて円陣を作り作業内容の周知をしています。整然としていて暑くなると看護士を呼んで熱中症の対策を徹底するなど工夫が見られました。ただし、作業内容や役割についてはおおざっぱで職長任せの所があります。また、下請けに丸投げなので元請と下請けの打合せも余りありませんでした。

最後に安全第一を唱和しますが元気は良かった。


グループ点呼

3.突き固め

バングラデシュにはTTがありません。その代わりとしてミニタンピングマシンというものがありました。マルタイもプラッサー製のものがありましたが、ほとんどの保守作業はこのミニタンピングマシンで行っているようでした。この装置はリフティング装置1台とタンピング装置2~3台で構成され、レベルで扛上量を決めた後、豆ジャッキは使わずにリフティング装置でレールを持ち上げてタンピング装置で締め固めてレールレベルを決めます。

かなりパワーがあるようでぐんぐんバラストがマクラギ下に入っていきます。BHより軽量な分機動力があると思いました。
この装置は中国製のようでしたが、ホンダ製のエンジンは分解してキャブレター交換、プラグ磨きが必要で、油圧ホースもボロボロで全交換しました。通常の保守作業に使えない古いものを新線建設の現場に投入したと思われます。


リフティング装置


タンピング装置


レベルで扛上量決定

4.マクラギ運搬・配列

マクラギの配列は5本まとめて吊り上げる治具があり、クレーンで配列します。


PCマクラギの吊り上げ

5.通り直し

日本と全く同じです。バールをもってリーダーの掛け声でよっこをします。掛け声も日本と同じ調子なので笑えます。ジャッキは使っていないようでした。マクラギ端部の道床が薄いのと作業員は沢山いるのでバールで頑張るようです。


バールでの通り直し

6.レール切断、穴開け、面取り

器具類はふた昔前の物を使っていました。穴開けは継目板をセットして継目板の穴にドリルを合わせるので間違った穴は開けないだろうと思いました。面取りはあまりやっていないようで、指導のし甲斐がありました。


レール穴開け器、
継目板を当てる